特別に絵画が好きというわけじゃないけど、ポーラ美術館でやってる
【ピカソ 青の時代を超えて】はどうしても見に行きたかった。ので、行ってきた。
原田マハさんの小説『楽園のカンヴァス』を去年読んで、ピカソに「青の時代」と呼ばれる時期があり、小学生の時教科書で見たキュビズム時代の絵、同級生が「オレでも描けるわ」と言っていたあの絵じゃないピカソの絵にすごく興味が湧き、さらにその時期は一度描き上げたカンヴァスを再利用して別の構図でまた描いて、肉眼では見えない何層にもなる絵の下層を最新技術で可視化できるようにしたっていう非常におもしろい展覧会で、絶対行こうと決めていた。
入り口にて、ニッセンの折り込みにあるポーズみたいに。
ピカソの描く青色はとても綺麗だった。
全然鮮やかな色じゃなくて、深く絶望したような、山奥にある湖のような色をしていて、描かれるものも項垂れてる女性や酒場で背中を丸めている娼婦など悲しげな描写ばかりだった。
映画でも小説でも舞台でも明るいものより暗いものの方を好む自分にはとても好きな色だった。
下層の絵は映像で解析されたものしか見れなかったけど、その映像を見てから改めて絵を見ると、くるめられた新聞の跡とか、他の絵では見られない油具の厚み、この奥に別の顔があるのかって思うと胸がワクワクした。と、同時に、描いた絵の上からまた絵を描く時、何を思ったんだろうって考えた。色んな描き方に挑戦して悩み、様々な描き方をしてあの絵にたどり着いたのかと思うと、はるか遠い存在のピカソも人間だったんだと、馬鹿みたいな感想と親近感を抱く不思議な思いになった。
出口に一言書いてあった。
「孤独なくしては、なにも成し遂げられない。」
ピカソのいう「孤独」とは、どんなものだったのだろう。見にいった日からずっと考えるけど、まだわからない。自分の「孤独」もまだわからないから、きっと永遠にわからないと思う。でも、この言葉を読んで、なぜか心は軽くなった。
見に行って良かった。
舞台でもなんでもそうだけど、見に行きたいものは可能な限り絶対
見に行こう。会いたい人にも、可能な限り会いに行こう。
帰り道、一緒に行ってくれた橘花梨ちゃんが今日のことを忘れないようにふざけた調子で「ピカソを胸に、心に」って言ってくれて大笑いしたけど、時間が経つほどに胸に、心にピカソが残っている。本当に、いい1日だった。
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