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去年の一文字は「泣」

執筆者の写真: 橋爪未萠里橋爪未萠里

更新日:2023年2月26日

 大人になってから、泣くことが減った。減ったと思ったら、今度は増えてきた。


 私の去年の漢字を一文字で表すなら「泣」。

それはそれは泣いた一年であった。


こんなに泣くなんて子供の時以来か二十歳前後の時以来だなって考えたけど、去年の涙は色んな涙があった。

うまくいかないことが続いてつらくて泣くことや、嫌なことがあった時、人との別れなど、子供の時と同じ理由もあるけれど、去年は人からいただいた優しさで泣いた日があった。「なんで私のためにここまでしてくれるんだろう」って思うと涙が止まらなくなった。

しかも人前で泣きまくった。今思い出しても鼻の奥がツンとする。


 最近も一緒にお芝居している子が一生懸命話を聞いてくれるだけで泣きそうになった。

ただ涙腺が弱くなってることも大いにある。大人になればなるほど脳の制御は効かなくなるから「涙もろくなる」ってよく先輩が言ってたのはこういうことかと実感しているけど、今まで気づいてこなかった、人からの優しさが、当たり前ではないと感じられる様になったのかもしれない。


 あとは、稽古中の芝居を見て泣いた。

それは正しくは一昨年のiaku『フタマツヅキ』の稽古の時で、共演者の杉田雷麟くんの演技に対する姿勢に泣いた。

私だったら絶対できないことを、彼はやってのけた。しかも何度も。

公演が終わってから彼に「なんでそんなことできるの?」って聞いたら、「そうマネージャーさんに教えられたから。」と。教えられてもできることじゃないから年下の彼の前でも泣いた。困ってた雷麟くん。あの時はごめん。年が明けてからも何度か思い出して泣くくらい、かっこ良かった。


 こう書くと、去年は人前で泣いたことが多いから覚えてえるのかもしれない。恥ずかしい。今年は泣かない。

 それではここで「泣く」ことに関することで、山田詠美の本に書かれてた好きな一節をご紹介。


「ごめんね。泣いたりして。誰かの前で泣きたかったんだ。きっと、そう。見てる人が誰もいないのに泣くのって寂しいじゃない」(『放課後の音符』より「Body Cocktail」カナの台詞)


ほんと、最高です、山田詠美先生。


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