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落とし物。忘れもの。

執筆者の写真: 橋爪未萠里橋爪未萠里


駅の構内に、白足袋が落ちてた。片方だけ。

この写真からじゃよく見えないけれど、うっすらと裏側が黒くなっていて、明らかに何度か履いた形跡のある、真新しくない白足袋。


こういう駅構内や道端に落ちてるものって、本当一瞬視界に入っただけなのに、すぐさま心を持っていかれる。

「え、なんで?」

と疑問に思い、振り返って見てしまうときがある。


この間は家の近所で、ミッキーマウスの靴下が落ちてた。

自転車を乗りながら見たから

「あれミッキー!?」

と一瞬姿を確認できただけで振り返りもできなかったけど、数時間後同じところを通ったら同じ場所に同じ形でまだあった。

帰りも自転車だったし、コロナ禍で拾うこともはばかれるからスルーしたけど、翌日、今度は徒歩でそこを通ったら、まだあった。

二日続けてだといつまでそこにあるのか興味が湧いてミッキーマウスの状態だけを確認して通り過ぎた。

帰り道、やはりまだあった。

「まだあるー!」

と数ミリだけテンションが上がって、でも素通りをした。

誰も拾わない、探されもしないミッキーマウスの靴下。


あれからミッキーマウスの靴下を見てないけど、どうなったのかな。

少し思い出して、明日にはもう忘れてること。


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